HDRIのファイル形式と歴史
HDRIの概要を理解し、レベル補正とヒストグラムについて学んだところで、より具体的にHDRIを勉強していきます。これまでの勉強でHDRIは256階調より広い明るさの幅がある画像と定義しました。つまりHDRIは概念的なものであり、それを実現するための仕様がいくつかあります。
そのいくつかあるHDRIの仕様のうち、現在主流になっているのは、Gregory Ward(グレゴリー・ワード) 氏が作成した拡張子「.hdr」のファイル形式となるRadiance(ラディエンス)ファイル形式と、米国屈指のVFXスタジオであるインダストリアル・ライト& マジック (Industrial Light & Magic)社が開発した拡張子が「.exr」のファイル形式となるOpenEXR(オープン・イー・エックス・アール)です。
いずれの画像フォーマットでも明るさのレベルを16bitもしくは32bitの浮動小数点で記録しています。
HDRIの歴史年表
【1985年】
Gregory Ward(グレゴリー・ワード) が最初のHDRIのファイル形式であり、現在(2007年時点)でも最もよく使われている Radiance RGBE 画像ファイル形式(拡張子「.hdr」)を作成する。
【1997年】
1997年のSIGGRAPHにおいて、Paul Debevec(ポール・デベベッチ)により、露出が異なる同じ風景の複数枚の写真から、一枚のHDRIを作成する方法が発表された。
論文タイトル「Recovering High Dynamic Range Radiance Maps from Photographs」
【1998年】
1997年のSIGGRAPHにおいて、Paul Debevec(ポール・デベベッチ)により、”light probe"と名付けられたクロムメッキされたボールを使って現実の世界からHDRIを作成し、それを光源として非常に写実的なシーンの作成方法が発表された。
論文タイトル「Rendering Synthetic Objects into Real Scenes:Bridging Traditional and Image-Based Graphics with Global Illumination and High Dynamic Range Phtography」
【1999年】
インダストリアル・ライト&マジックによりHDRIのファイル形式「OpenEXR」(拡張子「.exr」)が作られる。OpenEXRは2003年に公に発表される。